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安定と変革の「両利き」に必要なもの

5月11日に開かれた日本経営変革フォーラムに、戦略やイノベーションが専門のMisiek Piskorski教授が登壇し、既存と変革の「両利き」で事業を手掛けるリーダーシップの重要性を語り、日本の代表的企業のCxOと対話をしました。教授の話の一部をご紹介します。

両利きのリーダーの条件

日本経営変革フォーラムの軸である**「三重の変革(デジタル、持続可能性、人と組織)」をやり遂げるには、どのようなリーダーシップが必要**なのでしょうか。私たちは成功したビジネスを運営し、業績を維持しつつ、変革も果たさなければなりません。

そのためには両手で文字を書ける能力、つまり「両利きの経営」が求められます。けれども、たいていは片手でしか書けません。いまの業績に重点を置くか、未来の変革に注力するかのどちらかに偏りがちです。

「両利きの経営」ができるリーダーは、例えば次のような力をバランス良く持つ必要があります。

管理者と変革者:両利きのリーダーは、現行のビジネスをよりよくさせるための能力(管理者)と、全く新しいことを始める能力(変革者)の両方を併せ持つことが必要です。

実行者と実験者:計画性と明確なビジョン、そして常に結果を出す「実行者」であると同時に、変革を達成するために試行錯誤できる「実験者」でもなければなりません。試行錯誤は失敗を伴います。いつ、どこで「実行」と「実験」に取り組むべきかという判断力も求められます。

このように「両利きの経営」とは、異なる二つの能力をバランスよく持ち、現状の業績を維持しつつ、未来の変革に向けて努力するリーダーシップのあり方です。非常に難しいですが、両方のバランスを取ることができれば、ビジネスの持続可能性と成長を両立することが可能となります。

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公式と非公式の顔を使い分ける

両利きのリーダーは、管理者とネットワーカーの2つのペルソナを使い分ける必要もあります。言い換えればどんな状況でも集中し、冷静に組織を管理できるペルソナと、人の力を借りることを惜しまず、インフォーマルな権限で影響を及ぼせるペルソナです。本当に変革を望むなら、ネットワーカーになる必要があります。

そんな両利きのリーダーは、約10〜15%しかいないことが私たちの研究で分かっています。

CxOに近いポジションにいるリーダーでも「これまで通りのことをもっとやろう」と考えがちです。それまでそう訓練されてきたからです。ただ、CxOとして貢献するには、新しい変革のビジョンが問われます。

その時点で「自分は何か間違っていたようだ」と気づき、助けを求めることができるのが賢いリーダーだと思います。

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リーダーシップの3つのE

リーダーシップ力を高めるには
「Exposure(露出)」
「Experience(経験)」
「Education(教育)」
ーーという3つの「E」が必要です。

まず大切なのは、「露出」。どこに住み、どこで働き、何を見たのかが大事です。国内外の異動や転職は、露出の幅を広げます。

次に、「経験」です。既存事業の進化だけでなく、新しい事業の立ち上げ、困難な事業の立て直しなど、様々な経験をし、そこから学ぶことが大事です。

最後に、「教育」です。これは、就業前の「学校」教育を指すものではありません。企業内外での教育研修、ビジネススクールなどでの学び、コンサルティング会社からの指摘などもここに入るでしょう。これらを、仕事や自分の成長にどう生かすかが大事です。

リーダーの育成は、一度きりで終わるゲームではありません。繰り返し試して、それがうまくいけばさらに進め、うまくいかなければ別の方法を試す。そう、私たちは「超人」を目指していることを忘れないでください。両利きのリーダーを目指すのは、途方もない挑戦に思えるかもしれませんが、時間と忍耐、投資が必要です。

変革に挑む時、リーダーの視野が狭いと真の変革はできません。だから様々な改革の中でリーダーが受け入れやすいものを一つ選び、それを少しでも前に進めてみましょう。組織が円滑に回るように、管理者としてのスキルを失わず、かつ、多くのタスクをこなせるように手助けしてみてはいかがでしょうか。

例えば、リーダーが長い間、同じ役割にとどまっていたら、私たちは彼に「6ヶ月間、スタートアップで働いてみたらどうですか?」と提案するでしょう。その言葉に後押しされ、彼らはすぐにトレーニングを始め、状況は改善するでしょう。

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