- IMD Business School

「ビジネス変革を促すデジタル戦略」 生成AIをいかに活用すべきか

Michael Wade 教授来日セミナーから

 

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世界に衝撃を与えたChatGPT(チャットGPT)の登場から1年余りが過ぎました。その活用については依然として議論百出、「デジタルトランスフォーメーション(DX)を目的化せず、いかに有効手段とするか」といった課題も浮上しています。

因みに、昨年11月末に発表された「IMD世界デジタル競争ランキング」における日本の総合順位は前年から3ポイント下落し、32位。特に「人材」(49位)、「規制の枠組み」(50位)、「ビジネスの俊敏性」(56位)といった面で低迷が目立ち、効率的DXの実践は急務です。

そんな中、イノベーションと戦略を専門とするMichael Wade教授(下写真)が来日。昨年発足した「日本経営変革フォーラム」の一環として、ディスカッションを交えたセミナーが2月5日に開催されました。セミナーの資料の一部も併せ、Wade教授の講義の内容をお伝えします。

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当日の受講者は、日本を代表する企業の経営幹部35名。冒頭の質疑応答で、ほとんどの方々が生成AIを「日常的に使用」していると回答。使い方は翻訳や長文資料の要約、パワーポイントの資料作成、文字起こしなど。しかしAIに対しては、「ワクワクするが恐怖感もある」という相反する感情を抱いていることがわかりました。

これを受け、まずウェイド教授は生成AIのあらましや、他のテクノロジーと比較した優位性について解説しました=下図。

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ブロックチェーンやメタバースとの決定的違いは「多目的のディスラプター(創造的破壊者)であること」。そのパワーの源として、1)膨大なデータベース 2)飛躍的なコンピューティング能力 3)ニューラルネットワークによるアルゴリズムを挙げました。

そして意義ある活用例として、文章や商品企画案の作成も紹介しました。ただ注意すべき点として、AIが極めて基本的な間違いを犯すことも指摘しました。例えば、簡単な単語のスペルミスや事実と異なる情報の提示(ハルシネーション)……なぜこうした過ちを犯すのでしょうか。

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「大規模言語モデルはトークン化された言葉とそれらの関係性がベースになっている。すなわち生成AIは言葉のマッピングから予測をし、確率の高さから文字を選び出すのです。ある意味、強力なオートコンプリート(自動補完)のようなもの」

「つまり正しい答えを出すためではなく、最も『似つかわしい』答えを出すように設計されている。言い換えれば『提案エンジン』であって、『検索エンジン』ではない」

 

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ウェイド教授はウェブビジネス界で多用される言葉 ーー「Content is king(何よりも重要なのはコンテンツ)」ーー になぞらえ、「Context is king (重要なのは文脈)」と喝破しました。

では、ビジネスにどう活用すべきか。例えば、草案作り。その迅速性は大いに効率を高めますが、注意すべきは「AI案はあくまでも叩き台であること」。

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また、自然言語による質問に対し、蓄積された知識に基づいて答える場合。これはカスタマーサービスへの応用が可能です。マーケティング分野では、顧客獲得に向けた消費者への製品説明・推奨などを挙げました=下図。

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しかし生成AIの倫理的・社会的課題はいまだ未解決です。「正確性や説明責任、再現性、機密性が強く求められる場合、生成AIの使用には細心の注意が必要」とウェイド教授は総括しました=下図。

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