IMD、「AI 成熟度指標(AI Maturity Index)」を発表

日本からはKDDIとソニーがトップ20にランクイン

AIの活用度を企業別に評価し、ランキングで表す −− IMD初となる試み「AI成熟度指標」が発表された。評価方法は主に3つの柱から成る。まずは、年次報告書やプレスリリースなど各企業の公式文書、アナリストの報告書などに記載されるAI戦略の一貫性。そして、AI関連のキーワードの使用頻度。さらにはAI戦略の多様性と、それに対する投資額。対象となったのは、2023年度「フォーチュン500」で上位200位に選ばれた企業だ。

トップ20の大半を占めたのは、大方の予想通りテック企業。アマゾン、アルファベット、グーグルの3社が1位から3位を占めた。特筆すべきは、他分野の企業が上位にランクされたこと。7位にアクセンチュア、12位にVisa、15位にドイツテレコム、そして日本からは16位にKDDI、18位にソニーが入った。

DX・AIが専門のマイケル・ウェイドIMD教授は、「巨大テック企業がAI活用で先行していることに驚きはない。注目すべきは、どの分野の企業でも有効なAI活用ができると証明されたこと」とコメント。「このランキングは、各業界内や業界間でAIへの投資、並びにその活用法で大きな格差が生じていることを示しています」

日本企業で名を連ねたのは14社。国別では米国(76社)、中国(29社)に次いで3番目に多い数だった。KDDI、ソニーの他にランクインしたのはトヨタ自動車(25位)、NTT(34位)、三井物産(40位)、日立製作所(46位)、伊藤忠商事(74位)、三菱商事(76位)、本田技研(77位)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(92位)、みずほフィナンシャルグループ(102位)、東京海上ホールディングス(107位)、三井住友フィナンシャルグループ(117位)

IMD DBTセンター(Global Center for Digital Business Transformation)の横井朋子研究員兼アドバイザーは、KDDIが日本企業のトップとなった理由について「今では多くのテレコム企業がデータ分析にAIの活用を始め、ネットワークのコネクティビティ強化に努めている」とコメント。「KDDIは近年、スーパーコンピュータの開発やAIデータセンターの設立など、AIに関する事業が著しく増えています」

また、ソニーも音楽制作ツールやゲーム開発など、AIを活用した事業や商品展開が今年になって極めて増えている。

先に発表されたIMDの世界デジタル競争力ランキングで日本は総合31位となり、「将来への準備」に課題が集中していることが明白になった。しかしこうしたAI活用で他国より先んじている企業が少なくないことは、課題解決に向けすでに各社が積極的対策を取りつつあるという兆しでもあろう。